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2010年5月 7日 (金)

「大阪都構想」vs「大都市圏州」

 「大阪都」を目標に掲げ、地域政党「大阪維新の会」を立ち上げた橋下徹大阪府知事。一方、平松邦夫大阪市長は対立する形で政令都市の権限を拡大する「大都市圏州」を唱えている。都市構想の結論は選挙で決着をつける話にまで発展しているが、そもそも双方の構想の違いは何なのかがピンと来ていない読者も多いのではないだろうか。「都」と「府」の違いから構想の中身を検証するとともに、両構想は共通する部分もあるのに、なぜ対立してしまうのかを探ってみた。

「都」と「府」の違いは

 橋下知事は今年6月に開く自らの政治資金パーティーに石原慎太郎東京都知事を迎え、都制度をテーマに対談を行う計画だ。橋下知事は「東京都制をモデルとするが東京23区をより強化した大阪都20区を設置し、区長には東京都制よりも権限や財源を与えたい」と表明している。

 知事が目指す「大阪都」構想は府と大阪市をいったん解体して再編し、東京都のような特別区制度にするイメージがある。大阪市の元区長は、「大阪市の政令市の区は市役所の出先機関。民間の企業に例えれば、本社に対する支店のような存在。東京都の特別区は独立した会社」と民間企業を例に説明する。政令市の区は事務を円滑に行うための、出先機関で地方自治体ではない。

行政効率悪化の側面も

 大阪「都」のメリットは何なのか。橋下知事は「広域行政投資や府と大阪市による二重行政の解消、リーダーシップを発揮した行政の一元化が可能となる」という。

 確かに大阪市内では「府立」「市立」の名が付いた重複する〝ハコもの施設〟が林立し、「府市の意思疎通を図り、効率的に建設、運営できないものか」と疑問を感じる府民も多い。

 ただ、政令市を分割することに対し地方自治に詳しい評論家、大橋健二氏は「複数の自治体をつくればそれぞれに首長と議会を置くことになり、逆に行財政効率が悪くなる。大阪の地元に愛着のある市民も多く、効率と都市ブランドの点で課題がある」と指摘する。

議員倍増で膨大な経費

 大阪、堺両市の市会議員の定数は合わせて138人。両市を解体し、11区に分けることで現在2つの市議会が11の区議会に分散するため逆に議員は倍増する。

 橋下知事は「政策でも府議会(定数112人)の定数削減(88人)を掲げている。報酬のある議員を前提にしていない」と述べ、無報酬の議員も含める考えも示している。しかし、大阪市の元区長経験者は「無報酬で議員活動を続けられる人は会社経営者など金持ちしか議員になれない」と批判する。

府民生活の影響は?

 気になるのは府民生活への影響だ。大阪都構想では、港湾や空港など産業基盤整備や広域調整を担う広域自治体と、生活基盤を整える基礎自治体に行政の役割を分担。都区は人口30万人程度の基礎自治体を形成する。

 維新の会所属の府議は、区長、区議が身近となるため、「区民の声が直接、反映しやすくなる」という。ただ、特別区に〝格下げ〟される特例市では「固定資産税など自主財源が減ればきめ細かな住民サービスはできなくなる」と懸念の声も。大阪、堺の両市民にとっては区が減ることで区役所への申請、届け出などの事務手続きは不便になりそうだ。

平松市長が掲げる「大都市圏州」

 平松市長の構想は政令市の権限を拡大し、大阪市と近隣自治体とが合併して「大都市圏州」を設置し、大阪府からの独立をイメージしている。将来的に道州制となれば、市が独立して国と直接やりとりする関係をイメージしている。地域ごとの住民サービスは、区の権限を強化して行う。

対立するが共通部分も

 橋下知事の大阪都構想、平松市長の大都市圏州の目指すところはともに「区の権限を強化し、無駄な二重行政を止め、国と直接やりとりをし効率的な都市行政を行う」という点では共通している。都市構想をめぐり前哨戦に位置付けられた5月の市議補選、来春の統一地方選でどちらの都市構想を選択するのか、決断を迫られることになりそうだ。 OSAKA NICHINICHI

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