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2010年10月16日 (土)

ASEANまでも失おうとしている日本

 
【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】天木直人

  
 日本の外交は衰退の一途だ。

 かつてないほどの対米従属外交が進む。

 中国との外交力の比較劣勢は明らかだ。

 そして、なすすべもなく完全に遠のいてしまった北方領土問題の解決。

 先達たちが積み重ねて来た戦後65年間の外交努力が水泡に帰そうと
している。

 そしてとうとうASEAN諸国に対しても日本の影響力が失われつつある。

 ASEANに関心の薄かった米国が、ここにきて急速にASEANに関与
するようになってきた。

 米国とASEANの首脳会談などかつては考えられなかった事だ。

 その理由の一つは、経済苦境にある米国にとってASEAN諸国の潜在的
経済力が魅力に見えてきたからだ。

 しかし、もっと大きな理由がある。ASEANを中国や日本の勢力圏にさせ
たくないという事である。

 日本が援助をテコにしてASEANへの影響力を拡大し始めたのは70年代
であった。

 当時私は外務省にあって経済協力を担当していたから知っているのだが、
ASEANへの援助強化は、田中角栄首相のアジア訪問の際に起きた反日デモ
に衝撃を受けた日本が、ASEANの復興支援を強化する事によってその関係
を立て直すためであった。

 1977年には福田赳夫首相がASEANを訪問しいわゆる福田ドクトリン
を発表し、日本は軍事大国とならず、心と心の触れ合う対等な信頼関係を構築
し、東南アジアの平和と繁栄に貢献する事を宣言した。

 この時がやがてその後に続く日本とASEAN諸国と緊密な関係の始まりで
あった。

 因みにこの福田ドクトリンの起案者は、皇太子妃の実父であり、当時福田
首相秘書官であった小和田恒(ひさし)元外務事務次官である。

 当時はまだ冷戦下の最中であり、日本の資金によるASEANの防共化政策
は米国の利害とも一致していた。

 対米従属の日本がASEANとの関係を強化したところで当時の米国にとっ
ては警戒すべき何もなかった。

 それから30年余がたち国際情勢は様変わりになった。

 なによりも中国が圧倒的影響力を持つようになった。

 日中経済関係が日米経済関係より大きくなった。

 日中が協力してASEANをその影響力の下において、東アジアが発展して
行く事は米国にとって悪夢だ。

 だからといって米国が直接に手を出して東アジアを自らの勢力圏にするところ
までは余力が無い。

 お得意の軍事力で東アジアを支配して中国との正面衝突を行なうつもりは今の
米国にはない。

 そこで米国が考え出したのがアジアの分断統治である。

 中国と日本を離反する。中国と日本に対し二枚舌外交を行なう。ASEANと
中国を離反する。日本のASEANへの影響力を低下させる。

 この米国のアジア政策を見事に言い当てた論説を週刊エコノミスト10月5日
号に見つけた。

 伊藤剛(つよし)明治大学教授は、「新しい米中関係を見越したアジア外交を」
と題する論説の中で次のように言っている。

 「・・・米国がアジア地域において優位を維持する戦略は、さまざまな理由を
つけて地域を分断することであった。
 ある時は『イデオロギー』による対立が、ある時は『歴史』認識による対立が
東アジアにも存在したし、またそれを意図的に惹起する事によって、米国による
コミットメントが根拠を与えられてきた・・・」

 それを見抜けない日本外交。いや気づいていてもどうもできない日本外交。

 日本外交はいま劣勢の道をまっしぐらに突き進んでいるかのようだ。

 ASEANに対する最大の援助国として莫大な資金を投入してきた日本。

 そのことによってASEANだけは日本の影響力の下にあると高をくくって
きた日本。

 いま日本は、そのASEANさえも失おうとしている。

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