« :【渡辺氏借金問題】 作戦空回り、深まる窮地 使途説明で手詰まり感 | トップページ | 原発差し止め訴訟 「住民の総意」の重み【茨城新聞】<論説> »

2014年4月 6日 (日)

:【小学教科書検定】 考える糸口を摘むな / 政権の顔色をうかがうような教科書づくりになっていないか / これで児童の「考える力」は育つのだろうか 信濃毎日新聞

 「領土をきちんと教える」。下村博文文部科学相が繰り返す言葉自体に異論はない。

 ただ、一面的な見方だけを示すのなら「きちんと」教えたことにはならない。

 文科省がきのう、来春から使用する小学校教科書の検定結果を公表した。

 文科相の言葉通り、社会科を発行する4出版社全てが「竹島」「尖閣諸島」について、5年か6年の教科書で記述した。現在の教科書で触れているのは小5社会の1点だけだった。

 竹島については「日本固有の領土ですが、韓国が不法に占領しています」と、日本政府の見解だけを記述した教科書が合格した。

 尖閣諸島に対しては「中国が領有を主張しており、政府は、その解決に向けて努力を続けています」との記述に「誤解する恐れがある」との検定意見が付いた。

 その理由は明らかにされていないが、政府見解が「解決すべき領有権の問題は存在しない」としているためだろう。「政府は―」のくだりを削除して合格した。

 問題なのは、どの教科書も日本政府の見解に沿うだけで、韓国、中国が竹島、尖閣諸島の領有権をどのように主張しているかの記述がないことだ。なぜ領土をめぐって隣国ともめているのか、どうすれば解決できるのか。子どもたちが考えるきっかけを摘み取ってしまっている。これでは社会を生きる力は育たない。

 教科書をめぐっては昨年11月、近現代史で政府見解の尊重を求める規定を検定基準に加える方針を文科省が決め、審議会の了承を経てことし1月に改定した。

 続けて、教科書作成や教員の指導の指針となる中学、高校の学習指導要領解説書も改定し、竹島と尖閣諸島を「わが国固有の領土」と明記した。いずれも安倍晋三首相の意向を反映させたものだ。

 検定基準の改定は今春に申請を受け付ける中学の教科書から適用される。対象外である今回の小学校教科書に「領土」の政府見解が出そろったのは、出版社に萎縮効果が働いこともあるようだ。ある編集者は「安全に検定を通すためには政権の意向に従わざるを得ない」と明かしている。

 教科書検定の意義は「著作・編集を民間に委ねることで創意工夫に期待する」ことと文科省は説明する。戦前の国定教科書が軍国主義を推し進める一翼を担った反省に立つ。

 政権が介入すれば、その意義は崩れる。

 

|

« :【渡辺氏借金問題】 作戦空回り、深まる窮地 使途説明で手詰まり感 | トップページ | 原発差し止め訴訟 「住民の総意」の重み【茨城新聞】<論説> »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/548928/59419058

この記事へのトラックバック一覧です: :【小学教科書検定】 考える糸口を摘むな / 政権の顔色をうかがうような教科書づくりになっていないか / これで児童の「考える力」は育つのだろうか 信濃毎日新聞:

« :【渡辺氏借金問題】 作戦空回り、深まる窮地 使途説明で手詰まり感 | トップページ | 原発差し止め訴訟 「住民の総意」の重み【茨城新聞】<論説> »