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2014年4月 3日 (木)

避難指示解除 地域分断を招かぬよう 北海道新聞

 政府は福島県田村市都路地区の避難指示を解除した。 

 東京電力福島第1原発の事故後、初めての解除だ。避難から帰還へ、復興政策の節目と言える。 

 地区の住民は自由に居住できるようになったが、帰還の判断は分かれている。放射線や生活再建をめぐる不安が原因だ。このままでは地域の分断を招き、ふるさとの再生はままならないだろう。 

 政府は都路地区を皮切りに、帰還を加速させる姿勢を見せる。拙速は禁物だ。「避難指示を解除した後は地元任せ」では困る。国と地元の対話を十分重ねた上で、支援策の充実が不可欠だ。 

 都路地区の避難指示解除の対象は117世帯の350人余り。昨年6月に国直轄の除染が完了し、放射線量が下がったと判断した。 

 だが実際に帰還するのは中高年世帯中心だ。子供がいる家庭はためらっている。新年度から小中学校が再開するが、約20キロ離れた仮設住宅から通う児童生徒が多い。放射線の不安が消えないからだ。 

 帰還方針は住民の十分な理解を得たと言えるだろうか。 

 国と住民は帰還をめぐる話し合いを重ねてきた。地区内には放射線量が長期目標である年1ミリシーベルトを超える場所が残っている。住民からはさらなる除染を求める声があったが、国は拒否し続けた。 

 国の除染は住宅や道路周辺、農地などにとどまり、森林の除染は進んでいない。実際の住民生活は森林と隣り合わせだ。不安を残したままで帰還は進まない。追加の除染は当然行うべきである。 

 賠償の行方も不透明だ。東電からの精神的賠償は避難指示解除後1年で打ち切られる。仕事を失った人にとっては生活の糧でもある。実情に応じた対策をきめ細かく講じることが求められる。 

 一方、東電は早期帰還者に90万円の賠償を上積みする。線量計を配布し、健康管理も徹底する。積極的な帰還促進策の陰で、帰還しない人が取り残され、「住民分断策だ」と不信が広がっている。 

 支援が先細り、自らの意に反して帰還を余儀なくされることがあってはならない。安心して帰れる環境が整うまでは責任持って避難者の支援を続けることが大事だ。 

 政府は今夏に川内村、さらに楢葉町などへと帰還を広げたい考えだ。しかし地元では都路地区同様に不安が募っている。 

 帰還を機に住民がさらに分散するのでは元も子もない。十分な情報と明確な将来像を示した上で、着実に合意形成を進めるべきだ。

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