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2014年6月27日 (金)

法人税改革 地方の回復が遠ざかる【岩手日報】<論説>

 政府には、経済活動の担い手として大企業しか目に入らないようだ。

 新成長戦略で法人税の実効税率を2015年度から引き下げることを決めた。一方、政府税制調査会は外形標準課税の対象を中小企業にも拡大する方針を打ち出した。

 法人税減税は経済界からの強い要望を受けて踏み切る。海外からの投資を呼び込む、日本企業の国際競争力を強める-という理屈は分かるが、現実に恩恵を受けるのは大企業ばかりだ。

 企業活動が活発化すれば、広大な「裾野」である中小企業にも好影響が出るとの見方もあろうが、大企業優遇という印象は拭えない。

 代替財源も明確でない。法人実効税率を1%引き下げると4700億円程度の減収になる。仮に5%引き下げると2兆円以上の穴が開くことになるが、財源問題は先送りされたままだ。

 この財源を確保するために浮上したのが外形標準課税の強化。赤字企業も対象となるが、現在は資本金1億円超に限られている課税対象を1億円以下の中小企業にも拡大する構想だ。

 所得にかかる法人税と違って事業規模や人件費にかかるため、安定的な財源になる。広く薄く負担する仕組みをつくろうというのが政府税調の議論だ。

 しかし、中小企業は消費税率のアップで、ただでさえ厳しい経営を強いられている。税負担がさらに重くなれば経営を圧迫することは必至。日本商工会議所などの経済団体も反対を表明している。

 中小企業は日本の企業の99%以上を占め、雇用の70%を支える。中小企業が元気にならなければ、日本経済の自律的な回復にもつながらない。地域における存在感はことさら大きい。

 安倍晋三首相は記者会見で「成長の主役は地方だ」と強調したが、中小企業の経営意欲を損なえば成長どころか衰退さえ招きかねない。

 地方ではいまだ「アベノミクス効果」を実感できない企業は多い。地域経済が打撃を受ければ、せっかくの景気回復の芽を摘むことになる。

 政府には成長力のある企業さえ残ればよいという考えがあるのだろうか。しかし、多くの中小企業が廃業に至れば雇用にも深刻な影響が出る。そこで抱えてきた従業員は地域社会の一員として暮らしてきた人々だ。

 安倍首相は自らをトップとする「地域創生本部」新設の考えも示した。しかし、地方の中小企業が元気でなければ「地域の活力を維持し、東京への一極集中傾向に歯止めをかけ、少子化と人口減少を克服する」という、国が描く未来は見えてこない。

 

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