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2014年7月18日 (金)

【レポート】孫正義氏「情報武装とロボットで日本復活へ」 - 『SoftBank World 2014』基調講演


●競争力を失った日本を憂う
7月15日・16日、ソフトバンクグループの法人向けイベント『SoftBank World 2014』が都内で開催された。イベントは同グループ代表・孫正義氏の基調講演を始め、多数の出展社による特別講演やセッション、およびサービス・製品の展示が行われた。ここでは初日に行われたアリババグループ会長兼CEOのジャック・マー氏、そしてヤフー代表取締役社長 宮坂学氏による基調講演をレポートする。
○生産性向上のカギは「情報武装」
基調講演最初のステージに登壇した孫氏は、いまだ低迷が続く日本について「ただ嘆き将来を憂うだけでなく、どのように復活させて行くのかということについて、私なりのなりの意見を述べたい」として、「生産性×労働人口=競争力」という図式を掲げた。
2018年にはCPUのトランジスタ数が人間の脳が持つニューロンの数(300億)を超えると言われている。孫氏は、2040年におけるCPU・メモリ容量・通信速度の成長予想を示し、現在と比較してほぼ無限大といえるそれらの能力を手にした時、「全てがクラウドに格納され、ワークスタイルが劇的に変化する」と将来のビジネス環境を展望した。
ソフトバンクでは、iPhoneやiPadが発売された時にAppleに先駆けて全社に導入し、全員がクラウドを利用している。これにより、同社では一人当たりの生産性が倍以上に向上したという。しかし、国内企業を見るといまだに導入されていない企業が7割程度を占めており、これについて孫氏は「日本がいかに競争力を失いつつあるか」と、現状に対する懸念を述べた。
孫氏「何に使うのか、どう活用するのかは、会社によって違うが、まずは使うというところから始まるのではないかと思う。使い始めれば良さも分かってくるし、他の会社よりも先に行うことで競争力を獲得できる」
○「情報武装」のさらなる未来
家電や自動車、靴や眼鏡といった身の回りのものまで、ライフログとして様々な情報がビッグデータが収束される時代。2020年には世界で約500億のモノがネット接続されるという。その時、「クラウドに溜まったデータこそが我々にとって最大の財産となる」と、孫氏はビッグデータの意義を説いた。
現在のソフトバンクが「つながりやすさナンバーワン」を掲げる背景には、500億回もの接続セッションを確認し、機種別・時間別・場所別に詳細に接続率を把握することで、単にお金をかけるだけでなく、データを活用したインテリジェントな問題解決を行ってきた背景がある。ビッグデータが具体的な行動に反映された成果といえる。
自分が発明しなくても、最先端の機器がいつでも使える状態にあることは誰もが知っているにも関わらず、それを実行している企業はまだまだ少ないのが現状だ。これらの技術を最大限に活用することで生産性が改善されるなら、今すぐ使わない理由はないと、孫氏は改めて強調した。
●ロボットを労働力として投入
○テクノロジーの進化は、労働人口問題を解決する
孫氏の言う「日本復活の方程式」で、もう一つの値になっているのが「労働人口」だ。日本の労働人口は減少しており、人件費は高い。孫氏は、これを解決するのはロボットであると主張した。
日本の産業用ロボットは世界でもトップクラス。しかし孫氏がここで指すのは、安く高性能であらゆる用途に使える汎用ロボットのこと。それも、全てが人工知能を搭載し、クラウド経由で学習して知恵と知識を備えるもの。これを一気に普及させることで、日本がもう一度世界最先端の製造技術を手にすることができるという。
Pepperのデータはリアルタイムで集められ、学習のフィードバックにより毎日進化していく。労働力としてもそれは可能なのかもしれない。
日本の製造業における労働人口は現在約1,000万人だが、もし3,000万台のロボットを導入することができたら、日本の労働人口は現在の1億人分に達すると孫氏は予測している。また、1台100万円、5年償却で想定すると、"人件費"も非常に安くなる。これにより、製造業における労働人口1億人構想を実現し、労働人口・賃金問題を解決できるというのが孫氏の論である。
孫氏はこの提言について「ウソのような大法螺を吹くので、笑って聞き逃していただきたい」、また「9割以上の人がそれを疑問に思うだろう」などと前置きして話し始めた。しかしそう言いながらも「でも僕は真剣にそう思っているんです」と言い、本人は冗談とも非現実的とも考えていない。
生まれながらにデジタル機器に触れて育ったデジタルネイティブ世代が大人になった時、モバイルテクノロジーとどう付き合っていくのかは、今の大人に想像できることではない。孫氏は、さらにその先には生まれながらにロボットと会話するのが当たり前という世代が出てくる、と言う。いわば「ロボットネイティブ世代」が生まれ、社会に出て来た時、彼らがロボットとどう付き合っていくのかもまた、今我々が想像できる領域ではないのだろう。
●ビッグデータをどう扱うのか? ジャック・マー氏/宮坂学氏
基調講演二人目の登壇は、アリババグループ会長兼CEOのジャック・マー氏。米国株式市場への上場へ向けて準備が進められている現在、これに関する発言はなく、マー氏自身のビジネスに対する考えなどを述べるにとどまった。
○夢は「アリババを、3つの世紀を生きる会社に」
アリババがインターネット金融に乗り出した時、中国では金融をめぐる環境が整っていない状況だった。「チャンスは人の不満の中にある。それを解決すれば、自分のチャンスになる」とマー氏は言う。その上で、同社が大きく発展したのは、「ユーザーが強くなれば私たちが成長する」という哲学の下、「ユーザーが第一、社員が第二、株主は三番目」という姿勢を貫いたことによると述べた。
これまでのITが、ビッグデータを扱う「DT(データテクノロジー)」に変わりつつある現在。マー氏はこれを技術の変化ではなく思想の変化だと指摘する。DTとは、即ち技術をもって利用者を理解すること。それは他人をハッピーにするものであり、その時には私たち自身もハッピーになれる、と技術をもって哲学を実行する合理性を示した。
マー氏「世界の変化は人の想像力によって作られるもの。チャンスがあるかどうかは思考にかかっている。ビジネスの相手はライバルでなくお客様だ」
経済が常に良いということはなく、アップもあればダウンもあり、それが経済の魅力でもある。アップの時はアップのことを行い、ダウンの時はダウンのことを行う。そうして時代の波を乗り越えてきたマー氏は、現在の夢を「この会社を102年間生かすこと」だと述べた。1999年に誕生した同社は、102年間で3つの世紀を生きることになる。この先87年間という具体的な時間。それを目標にすれば、今なにをすればいいのかが自ずと明らかになると述べた。
マー氏「技術の変化が早いことを心配する必要はない。本当に世界を変えるのは技術ではなく、人の不満を解消し、お客様を支援していくこと。その夢に、努力していくことだ」
○ビッグデータの恩恵をあらゆる人へ
基調講演の最後に登壇したのは、ヤフー 代表取締役 宮坂学氏。同社の売り上げの約6割を占める広告ビジネスについて、今後の方向性を「アート」と「テクノロジー」の視点から語った。現在確認できる世界最古の広告は、トルコの約2000年前の遺跡のもの。人に商品やサービスをどう伝えるのかは、人類が2000年以上に渡って追求し続けている課題といえる。同社はそれをビッグデータの活用により解決しようとしている。
広告における「アート」とは、テキスト・写真・動画といった表現手法のことで、この進化はネットの進化そのもの。広告も映像化が進んでおり、ユーザもそれを受け入れつつある現在、宮坂氏は「ビデオによるブランディングは大きな可能性を秘めている」と考えている。さらに今後は、3Dプリンタとの連動で製品のモデルを手にとって見られるといったことも起こりえるという。
一方の「テクノロジー」の進化は、適切なタイミングで適切な人に届ける「ターゲティング」の進化に見ることができる。かつてはクルマの広告はクルマの記事に出すというように、コンテンツによるセグメントを行っていたが、現在は閲覧中の内容に関わらずクルマに興味がある人が見た記事にクルマの広告が配信されるという、人によるターゲティングが行われている。この精度を高めているのがビッグデータである。
宮坂氏「Yahoo! JAPANのPVは1日あたり570億。これは570億のクリックやタップで示される意思決定がサーバに蓄積されているということ。ここに人が何を考えているか、何をしようとしているかの手がかりがある」
こうしたテクノロジーは誰もが使えるものであり、使いこなせば企業規模に関わらず大きな成果を生むものであると、宮坂氏は事例を示した。
ネットの未来へ向かうベクトルはビッグデータがその中心であるという宮坂氏。「その恩恵を分け隔てなく、あらゆる人が使えるよう民主化していきたい」と述べ、講演を締めくくった。
(笠井美史乃)

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