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2014年7月17日 (木)

【集団的自衛権の国会論戦】明瞭さ欠く「限定容認」 法整備へ自公に火種


 集団的自衛権行使を可能とする閣議決定を踏まえた14、15両日の国会論戦で、自衛隊任務の際限ない拡大への歯止め策として 安倍政権が打ち出した 「武力行使3要件」の不明瞭さが浮かび上がった。安倍晋三首相は日本防衛のための「自衛の措置」に限定する考えを強調するが、憲法と国際法の解釈を使い分ける政府側の説明は分かりづらい。中東における停戦前の機雷掃海など今後の関連 法整備に向け 自民、公明両党の火種もくすぶる。
 ▽政府の裁量
 「3要件で集団的自衛権の行使対象となる『密接な関係にある他国』はどこか」。国会審議では閣議決定の根幹部分となる新3要件に関し「国民の権利を根底から覆す明白な危険」や「他に適当な手段がない」「必要最小限度の実力行使」などの文言一つ一つの意味をただす質問が相次いだ。
 首相や横畠裕介内閣法制局長官は閣議決定の内容を補うように答弁。「密接な他国」について「外部からの武力攻撃に共通の危険として対処しようという共通の関心を持ち、共同して対処する意思を表明する国」などと説明した。首相はさらに「米国とは密接な関係がある。それ以外は相当限定される」 と述べ、より対象を絞り込んだ。 「限定容認」の側面を浮かび上がらせたい思惑があったからにほかならない。
 だが3要件に当てはまるかどうか最終的には「政府が全ての情報を総合し、客観的、合理的に判断する」(首相)と政府裁量に委ねられた。
 野党からは「要件は客観的でなく、政府の判断でどうにでもなる。国民は不安だ」(日本維新の会の片山虎之助氏)と批判が続出した。
 ▽二重基準
 みんなの党の中西健治氏「閣議決定で集団的自衛権行使を認めたのか」
 首相「3要件を満たす場合には憲法上許容されると判断した」
 「限定容認」をめぐる首相答弁にはとりわけ難解さが目立った。
 政府は閣議決定で集団的自衛権を「国際法上の概念」と位置付ける一方、国内的に憲法が許容するかは3要件次第だとして、憲法解釈変更に伴って国際法と憲法の両方を持ち出した。行使を「自衛の措置」に限るための考え方で慎重な公明党と歩み寄るために編み出した苦肉の策とも言える。
 そもそも他国への攻撃を自国への攻撃と見なして実力で阻止するのが集団的自衛権の本来の 定義で、 「自国防衛」と「他国防衛」とに目的を分ける考え方は安倍政権特有だ。片山氏は「国内と国外向けのダブルスタンダード(二重基準)ではないか」と 突き上げた。
 ▽対立の前兆
 政府見解の曖昧さは今後の法整備で自公対立を再燃させる可能性が高い。審議で前兆が見えた。
 横畠氏は武力行使を伴う国連の集団安全保障措置への参加も3要件に当てはまれば可能との見解を表明した。首相も停戦前の機雷掃海について「国連安全保障理事会の決議で集団安全保障措置に変わったら、自衛隊は(活動を)やめなければいけないというのは、ばかげた議論だ」と訴えた。
 しかし集団安全保障への参加問題は、自衛隊の海外活動が 過大に広がり かねないとの懸念を持つ公明党への配慮から、与党協議で棚上げした経緯がある。閣議決定文にも明記しなかった。公明党の山口那津男代表は機雷掃海が3要件に該当するかに関し「現実には考えにくい」と否定的だ。
 さらに首相は15日、自衛隊の海外派遣を随時可能にする恒久法を検討課題とする考えも表明した。公明党には慎重論が強く、他国軍への後方支援活動拡大に伴う法整備で論点となるのは間違いない。
(共同通信)

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