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2014年7月 7日 (月)

今こそ問うべき「イラク分割論」

マイケル・オハンロン氏 エドワード・P・ジョセフ氏
[4日 ロイター] - イスラム教の宗派対立で混迷の度合いが深まるイラク。北部ではクルド人自治区が独立を口にしており、分割や連邦化の議論が再び表面化している。イラク分割は、バイデン米副大統領が上院議員だった2006年当時、強く提唱していた考えだ。
実現は容易ではないが、イラクが悲劇的混乱状態に陥いるなか、連邦化は依然として有効な問題解決の手段となり得る。
イラクの指導者たちが挙国一致政権の樹立で早期に合意できなければ、連邦化の議論は強まる可能性がある。クルド人自治区のようなスンニ派の自治区を作る「緩やかな分割」であろうと、境界線を正式に引き直す「完全な分割」であろうと、それが自然な考えに思われるのは、数十万人を避難生活に追い込んだ最近の治安悪化だけが理由ではない。イラクの国境は、第一次世界大戦後に欧州列強が恣意的に引いたものでもあるからだ。
われわれは2007年にイラクの「緩やかな分割」の可能性を探った。そこで分かったのは、新たなスンニ派自治区の創設には以下の条件が必要ということだ。
◎国家の石油収入の適正な配分(おそらくは15─20%)。スンニ派の住む地域は概して石油資源に乏しいからだ。
◎スン二派の警察に自治区の治安維持権限を与える一方、国家の安全を守る軍隊には、引き続きスンニ派・シーア派・クルド人が参加する。
◎新たな自治区での住宅購入資金を十分確保できるよう、バグダッド(スンニ派比率10─15%)のような場所を離れたいスンニ派の住民に対しては、不動産を安全に売れる手段を用意する。 ◎民族的・宗派的少数派として現在の居住地に残ることを選ぶ人の権利を明確に規定し、それが守られているかを監視する。イラクでは、異なる民族間・宗派間で結婚している人も多いため、少数派の権利保護は避けて通れない。
◎自治区へ移り住む人の安全を国家と地域の治安部隊が確保する。
これらの考えは、イラクで政治的未来が話し合われている今だからこそ、国民的議論の一部であるべきだ。
イラク憲法も、これらの可能性を認めている。スンニ派自治区創設の考えは、穏健派のスンニ派指導者に挙国一致政権への支持を促すことにもなるだろう。言い換えれば、現在の危機を解決する一助になるということだ。
とはいえ、各宗派の政治的指導者の目には、分割は協力の代替案としては映ってないかもしれない。実際、イラクを安定させて米国の安全保障目標と一致させるには、上記のやり方を通じたイラク再建は、協力の下に行われなくてはならない。1つの集団の恣意的判断であってはならず、戦闘激化が理由であってもならない。
現在、米国と欧州のイラクにおける基本的目標は、現状維持でも分割でもない。どちらの結果も受け入れ可能だ。今の重要な目標は、シリアからイラクの広い範囲を掌握したスンニ派過激組織「イラク・レバント・イスラム国(ISIL)」の打破だ。
ISILを倒すために欧米が必要とするのは、スンニ派の穏健派指導者がISILに背を向けることだ。そして、彼らが米国と一緒にISILとの戦いで主導的な役割を担うことだ。しかし、もしスンニ派の穏健派指導者が、石油資源に乏しく、政府からの資金援助もない「スンニ派国家」に住み、他の多くのスンニ派住民が引き続きバグダッドなど各地に散らばった状態では、それは実現しない。
分割は慎重かつ公平に進める必要がある。結局のところ、求められているのは、イスラム過激派掃討のための共同戦線の計画だ。その計画は、米国と周辺地域も立案・支援するが、主導するのはイラクのシーア派、スンニ派、クルド人だ。それが究極の、かつ譲れない目標であることに変わりはない。 *筆者の1人、マイケル・オハンロン氏は、ブルッキングス研究所の上級研究員。もう1人のエドワード・P・ジョセフ氏は、ジョンズホプキンス大学高等国際関係大学院の上級研究員。
*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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