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2014年8月 5日 (火)

「元原発技術者が伝えたいほんとうの怖さ・小倉志郎著」必読:元原発技術者が伝える本当のこと(八木啓代のひとりごと)

 私が著者である小倉氏と知り合ったのは、数年前だろうか。あるメーリングリストでの平和に関する論争(いわゆるバトルではなくて、紳士的かつ知的な論争である)を通じて知り合い、それ以後、私のライブに何度か、お客様としてお越し頂いていた。
 引退した技術屋です、といったようなことを自己紹介された覚えがある。
 それが、単なる「引退した技術屋」さん、などでないことを知ったのは、奇しくも2011年1月のことだった。あるイベントのあと、二次会に流れる形になり、そのイベントにも顔を出して下さっていた小倉氏と席を囲む形になった。そこで、私は驚くべき話を聞くことになる。
「私は、元東芝の社員で、福島原発の設計に携わったのです」
「あの原発は欠陥品です。私がいま、この年で平和運動をしようとするのは、あの福島原発など、テロに狙われでもしたら簡単にやられてしまう、その程度の脆いものだからです。だから日本は平和を維持しないと、大変なことになるのです」
 ちなみに私は、戦争は大嫌いだが、絶対的平和主義者というわけでもない。それは、植民地から独立戦争を経て、自治を勝ち取った中南米に、私が長い年月いた経験からきたものだが、闘わなくてはならない時というのもある。たとえば、相手が軍事独裁政権であったり、極端な専横国家であったりした場合だ。権力による虐殺が横行しているところで黙っていることは共犯であることになる。また、自衛のために闘わなくてはならない場合もあるだろう。(あくまで自衛のためだ)
 それが、以前、絶対的平和論者であった小倉氏と論争になった内容だったが、しかし、その小倉氏が「日本がいかなる形でも、絶対に戦争に手を出してはならない理由」とは、単なる、米国の核の傘に護られることを是とし、自分たちだけが平和であればそれでいいといったものではなく、現実的な理由があったのだった。
 東日本大震災と、福島原発事故が起こったのは、その会話のわずか2ヶ月後、2011年3月11日のことだった。
 技術者であった小倉氏が、なぜ、自らがこのうえもなく手塩にかけた福島原発を、事故の2ヶ月前に「欠陥品」と言いきったのか。
 それはまさに、『原発の建設に関わった私自身にとっても、複雑すぎて全貌がわからないこと』『世界中をさがしても原発の複雑なシステムおよび機器の全貌を一人で理解できる技術者はいないこと』。そのために、『設計で想定していない自体には誰も対応できない』ということだ。
 そして、事故後、しばらく仮名で原発問題の勉強会の講師をつとめたり文章を書いておられた、その小倉氏が、贖罪の想いを込めて、実名で書いたというこの本『元原発技術者が伝えたいほんとうの怖さ』では、新しい原発は古いものより、さらに危険性が高いという、さらに怖い事実、意外なその理由、さらに「原発の現場で働くということ」がおそろしく具体的かつ詳細に描かれている。それを読むだけで、汚染水がどんどん流れ出しているといういまの状況がどれほど異常であるのか、背筋が寒くなるほどだ。
 氏は、原発を、奇しくも1818年の3月11日にシェリー夫人が出版したゴシック小説「フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス」の、人を殺さずにはいられない悲劇の人造人間に例える。
 ぜひ、原発問題に興味のある方は、この書籍を手にとって頂きたい。お薦めの一冊である。

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